経済学

情報の非対称性と冬のテラス席

 

情報の非対称性

  • 売り手と買い手が互いに真実の情報を得ることが難しい為に情報格差が発生し、適切な判断に基づく取引が出来なくなる状態
  • 売り手側は買い手側より本当の情報を知っていることが常で、ほとんどの場合で買い手側が購入前に得られる情報は少ない
    例外) 質屋
  • 売り手と買い手双方に正しい情報が共有されれば市場原理は適切に働くとされるが、現実的には詐欺を行ったりする人間や、情報の隠ぺいによる情報格差を利用して不当に儲けようとする業者がいるのでフェアなトレードが困難になっている
    例) 粉飾決算, 中古車売買

 

 

例) .  「店内とテラス席どちらが宜しいですか?」冬のテラス席

店内とテラス席を備えた冬のレストラン

 

買い手側(客)

  • どのようなテラスなのか、またヒーターが備え付けられている情報を知らないので、すぐに答えようとすると無難な「店内」を選択することが多くなる
  • 客の中にはカップルも多く、テラス席にヒーターがあり快適であることを知っていればムードを重視してテラス席を選択していたかもしれない。しかし情報を正しく把握出来ていない為にリスクを避けようという心理から「店内」を選ぶことが合理的な選択肢になる

売り手側(店)

  • テラス席にヒーターを設置したり、イルミネーションによってお客さんを楽しませよう、もっとお店を使って貰おうと投資しているにも関わらず、情報が買い手と共有されていないことで外のテラスは空席が多くなる

店の価値が売り手と買い手で共有出来ていないことで、買い手側は適切な選択が出来ない。

 

情報の非対称性の解決として

  • 売り手側(店)
    「ヒーターやクリスマスのイルミネーションがありカップルに人気」など広報を行う
  • 買い手側(客)
    「店内」と「テラス席」を内覧してどちらが本当に自分達にとって良いか情報を得てから選択を行う

情報の共有がしっかり行われれば最適な選択が可能になる

 

 

例) 自動車保険

加入者一人一人の運転能力を調査して見極めることが難しい。だからAさんが優良ドライバーであっても、保険会社はAさんが優良ドライバーであるかどうか見極めることが難しいので、最悪の想定を考えて保険料は高めに設定される。

不良ドライバーを排除して、優良ドライバーのみ集客出来れば保険会社は保険料金を低く設定できて適切な取引を行えるが現実は難しい。

保険料を安く設定すると不良ドライバーが多くて困るし、高く設定すると優良ドライバーに他社を選ばれる。

逆選択

保険は一部の不良ドライバーを多数の優良ドライバーの保険料によって支える形になりますが、不良ドライバーを考慮してリスクを低くしようと保険会社が保険料を引き上がると優良ドライバーにとって割高になります。

本来多く集めたい優良ドライバーには保険料の割高感によって敬遠され、事故をたくさん起こす可能性が高い不良ドライバーの加入者が多く集まってしまう、これを「逆選択」という。

 

情報の非対称性の解決として

この場合は売り手である保険会社が加入者の情報を適切に知ることが出来れば、保険料を適切に設定出来て解決となります。

保険会社は運転技術を判定する機械を加入者との契約前に車に取り付けることで運転技術やマナーをスコア化し、そのスコアによって加入者それぞれに保険料を設定することが可能になる

 

 

 

例) アンチエイジング化粧品

買い手側(客)

  • 化粧品の効果がわからない状況だと、安いものは効果に不安がある。A化粧品の広告には良いことばかりが載っているし、本当に効果があるのかどうかわからない。
  • だから「高いブランドの品を買っておけば間違いは少ないだろう」となる、本来は安くて良いA化粧品を選択出来ない。

 

売り手側(メーカー)

  • 売り手側のメーカーも、安くて良い製品をお客さんに届けたいのに買い手が安すぎる製品は敬遠されてしまうので、値段を高めに設定せざるを得なくなる。
  • 値段が高いと売れる数も少なくなるし、多くのお客様に提供出来ない。

 

 

情報の非対称性の解決として

  • 買い手側は友達や知人の口コミを参考にする
  • 売り手側は客観的な情報や、公的な第三者の調査など科学的に公正な情報を提供する

 

 

 

情報の非対称性の悪用

詐欺師は情報の非対称性を利用して詐欺を行う

例) 地面師事件

 

 

実際以上の誇大広告

  • 広告によって需要は生みだされますが、様々なサービス、例えば健康食品の中には科学的根拠のない、人を騙すような過剰な宣伝が横行しています。
  • 誇大広告でも一定数を騙すことが出来るので誇大広告が氾濫し、広告の信頼性が揺らいで市場原理が働きにくくなります。
  • 大企業の広告でもイメージ広告を大々的に売って、小さな文字で例外に対する注釈が添えて体裁を整えるのは常となっています
  • 業者による嘘の口コミ投稿、人工的なソーシャルマーケティング

誇大広告や詐欺にひっかかる人は一定数発生するので短期的には商品が売れてしまうので詐欺がなくならない。それによって情報への信頼性が低下し、商品への適切な評価を行うことが難しくなり市場の失敗が起こります。

もし純粋無垢な人がネットをお散歩したなら「破滅する」状況になっています。これはとても恐ろしいことですよね・・・(;•̀ᴗ•́)۶破滅しない為には否応なく広告や情報に対して疑うことを余儀なくされているって悲しい世界。広告を見た時に感じるストレスの要因の1つでもあります。

 

 

広告の信頼性低下に伴う広告側の対応として

ただの有名人ではなく、多くの人々に信頼性があると考えられるタレントとの商品タイアップ知人友人を巻き込んだキャンペーン信用を積み重ねて最後に広告を行うセールスレターが広告手法として盛んになっています。

信用や物語性(ストーリー)を利用することで、「広告」と人に感じさせずに広告してしまうことが広告する側のポイントになってきていて、対象者に対して信頼出来る人や身近な人を使って広告の信用度を担保したり、クラウドファウンディングなど物語に巻き込んでいく仕組みが多くなってきました。

 

 

モラルハザード

  • 保険に入ることによって、通常ではマナーの良い運転である優良ドライバーの運転が荒くなり事故が起こりやすくなること
  • 倫理感の欠如、正しい意思の欠如が原因

 

 

 

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